株式市場の弱気バイアスは行き過ぎ-まだある上昇相場の可能性-

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2018/12/13

経済調査部

シニア・エコノミスト

門司 総一郎

 

はじめに

今年の株式市場は、日本だけでなく世界的に低迷を続けることとなりました。大幅に下がった訳ではありませんが、米中摩擦や世界経済への先行き不透明感から、なかなか強気になれない1年といった雰囲気です。しかし、すべての市場が同じ状況という訳ではありません。例えば新興国通貨は年初から9月にかけて米ドルに対して下落したものの、その後は持ち直しつつあります。今回の「市場のここに注目」は、これまでの新興国通貨の動きを振り返りつつ、今後の株式市場の動きについて考えてみます。

 

新興国通貨(対ドル)の推移

トルコリラの動き

今年に入って新興国通貨は全般的に対米ドルで下落しました。新興国通貨全体に共通する理由としては、米国の利上げや貿易戦争の悪影響などが挙げられました。また個別にはアルゼンチンの財政赤字や米国によるトルコへの経済制裁が悪材料視されました。特にトルコはエルドアン大統領が米国との対決姿勢を崩さず通貨防衛のための利上げが遅れたため、一時はトルコリラの下落が世界的な株安の理由とされたこともありました。しかし、9月に中央銀行が大幅利上げに踏み切ったことや、米国人牧師の自宅軟禁が解かれたことで米国との緊張が和らいだことなどから、トルコリラは回復に転じ、その他の新興国通貨も底堅い動きとなっています。

トルコリラの反発を無視する株式市場

ここで話を株式市場に移しますが、説明が難しいのがトルコリラと株式市場の関係です。一時はトルコリラの下落が世界的な株安の主因とされた時期もありましたが、反発するとトルコリラが株式市場で話題になることはなくなりました。株式市場はトルコリラの反発という好材料を完全に無視した形です。

米国の早期利上げ打ち止めは株式市場の好材料

似たようなことは他にもあります。これまで米連邦準備理事会(FRB)が利上げする毎に景気や株式市場への影響を懸念する声が上がりましたが、最近では利上げを早期打ち止めした場合、「イールド・カーブが逆イールドになり、世界経済の悪化を示唆する」との声が増えています。米政策金利を上げてもダメ、上げなくてもダメなら「一体どっちだ」と言いたくなりますが、少なくとも利上げを停止する方が世界経済にはプラスでしょう。特に新興国経済にとっては通貨が安定する要素となるため、大きなプラスになると考えられます。

株式市場の弱気バイアスは行き過ぎ

このように今の株式市場では弱気バイアスが行き過ぎており、そのため株価はかなり低い水準に放置されていると考えています。2018年も残り少なくなってきましたが、市場参加者がこうした状況に気付けば、いまからでも上昇相場が始まる可能性は充分あると考えています。

 

 


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