ヘッジファンドからの資金流出が世界的な株安の主因 -2019年初めには市場は落ちつきを取り戻すと予想-

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2018/12/27

経済調査部

シニア・エコノミスト

門司 総一郎

はじめに

世界的な株価の下落が続いています。11月まではまだ「上がったり、下がったり」だったのですが、12月に入ってからは下げ一色といった状況です。この急落の理由としては世界経済の先行き不透明感や米トランプ政権の混乱などが指摘されていますが、私がそれら以上に株安に大きな影響を与えており、主因と考えているのが、ヘッジファンドからの資金流出です。

今回の「市場のここに注目」はヘッジファンドからの資金流出を取り上げます。

なお、ヘッジファンドには色々種類がありますが、このレポートで「ヘッジファンド」という時は世界の株式、債券、通貨などで運用するマクロ/CTA型のヘッジファンドを指すこととさせていただきます。

 

S&P500の推移

加速するヘッジファンドからの資金流出

ブルームバーグニュースでは、今年10月まではヘッジファンドからの資金流出に関する報道はほとんどなかったのですが、11月には英国のヘッジファンド「ニュー・ピーク・キャピタル・パートナーズ」が顧客に資金を返還するなど、そうしたニュースがみられるようになりました。更に12月に入ってからは、「ブレナム・キャピタル・マネジメント」(資産規模8億ドル相当)、「アバートン・キャピタル」(同2億ドル相当)、「トリカディア・キャピタル・マネジメント」、「ジャブレ・キャピタル・パートナーズ」などがファンドを閉鎖し、顧客に資金を返還すると報じられました。運用業界のレジェンド、ジョージ・ソロス氏の資産などを運用するファミリーオフィス「ソロス・ファンド・マネジメント」もマクロ運用への投資を昨年の30億ドルから5億ドルに減らしたと報じられています。

このようにヘッジファンドから資金が流出しつつあることは間違いないと思われますが、そのための換金売りが、足元の世界的な株安の主因と考えています。

ヘッジファンドの売りが株安の主因と考える理由

ヘッジファンドの売りが株安の主因と考える理由は、その規模が大きいと思われるという点以外に2つあります。1つはタイミングです。冒頭で申し上げたように12月に入って世界の株式市場は明確な下落基調に転じましたが、これはヘッジファンドからの資金流出が加速した時期と一致します。

もう1つは売り方です。通常であれば売り手は少しでも高い値段で売るため、下がったところでは売らず、株価が戻ったところで売ろうとします。しかし、今回の売り手は値段が下がるのを気にせず、平気で売却しています。売り手がこういった売り方をする時は、解約などで期限までに売り切ってしまわなければならないケースが多いと思いますが、このイメージに合致するのがヘッジファンドです。投資家に資金を返却するために期限までに換金を終えなければならないため、株価が下がったところでも売りを続けているとみています。ヘッジファンドの売りが今回の世界的な株安の主因と考える理由が以上の2つです。

2019年初めには市場は落ちつきを取り戻すと予想

最後に、今後の見通しについて考えてみます。株安の主因はヘッジファンドの売りと考えられるので、この売りが止まる(少なくとも峠を越える)ことが株価が下げ止まる条件となります。そのタイミングを判断するのは簡単なことではありませんが、1つ考えられるのは年末です。クリスマス休暇の時期になっても売り圧力が衰えないのは、年内に資産を現金化しなければならないヘッジファンドが多いためと考えられますが、もしそうであれば、来年にはヘッジファンドによる株式売りの圧力が小さくなると考えることもできそうです。この想定を踏まえて、2019年初めには世界の株式市場は落ちつきを取り戻すと予想しています。

 


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