2019年の10サプライズ

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2019/1/16

経済調査部

シニア・エコノミスト

門司 総一郎

 

はじめに

2019年の最初の「市場のここに注目」は遅くなりましたが、恒例の10サプライズです。 10サプライズの元祖である元モルガンスタンレーのエコノミスト、バイロン・ウィーン氏は「サプライズ」を「一般には1/3の生起確率しかないと思われているが自分にとっては50%以上である事象」と定義していますが、自分は「比較的可能性が高いシナリオ」という位の気持ちで作成しています。

 

2019年に起こると予想する10サプライズ

その1:米国民に「トランプ疲れ」支持率低下で再選に赤信号

派手なパフォーマンスで耳目を集めるトランプ氏ですが大型減税以外には国民にアピールできる実績はありません。これまで支持者はトランプ氏の戦う姿勢そのものを評価していたところもあったと思いますが、それもどうやら期限切れ。世論調査では今回の米政府閉鎖の責任は民主党よりもトランプ氏にあるとの回答が多数のようです。このまま行けばトランプ氏再選は早くも赤信号といった事態も考えられますが、その場合、世界の株式市場にとってはむしろ好材料となる可能性の方が高そうです。これが2019年に予想する第1のサプライズです。

 

その2:グローバル企業への逆風続く、株式市場は小型株優位に

これまで冷戦終結や技術革新の恩恵を最も享受して来たのが「FANG」を筆頭とするグローバル企業です。しかし、足元は個人情報保護や租税回避阻止のための規制強化など、逆風が続いています。2019年もこうした状況は変わらないと思われる中、投資家がグローバル企業への投資を見送り小型株に資金をシフトすることが考えられるでしょう。2019年は世界的に小型株優位と予想します。

 

その3:FRBは2019年早々に利上げ打ち止めを表明、新興国株式、債券、通貨が大幅高

米景気の下振れ懸念などからFRB(米連邦準備制度理事会)は2019年早々に利上げ打ち止めを表明し、これを好感して新興国の株式、債券、通貨が、いずれも大幅高になると予想します。なお、FRBが利上げ打ち止めにとどまらず利下げに転換するとの見方もあるようですが、そこまで米経済が悪いとは思えないため、利上げ打ち止めが妥当でしょう。

 

その4:次はRCEP?巨大自由貿易圏誕生で、日経平均は大幅高

TPP11 (イレブン)と日欧EPAを成立にこぎつけた安倍首相が次に目指すのは東アジア包括的連携(RCEP)です。RCEPは中国やインドも含み、実現すれば世界人口の半分をカバーすることになる巨大経済圏です。簡単ではありませんが、もし実現すれば日本経済への期待と安倍首相の手腕への評価から、日経平均は大幅高の可能性があると見ています。

 

その5:上げるべきか、上げざるべきか、日銀は苦渋の政策金利引き上げを決断

欧米の主要中銀が出口戦略に動く中、これまで動かなかった日銀ですが、苦境にあえぐ地銀のために政策金利を引き上げる可能性はありそうです。しかし国内では消費税増税を控えている上、米国では利上げ打ち止めが有力視されるこの時期の利上げは、日銀にとって厳しいものになるかもしれません。

 

その6:貿易戦争に勝者あり、ベトナムとバングラディシュに注目

「貿易戦争に勝者なし」といわれますが、実際はそうともいえません。例えばベトナムやバングラディシュは豊富な労働力を武器に中国からの衣類の製造拠点シフトの受け皿となっています。2019年はこの両国の経済や株式市場に注目です。

 

その7:カタール離脱でOPECは空中分解、原油価格は大幅安

昨年12月、カタールが石油輸出国機構(OPEC)からの離脱を表明しました。カタールの石油生産そのものはそれほど大きなものではありませんが、比較的イランに近いカタールの離脱はOPECの事実上の空中分解が始まったと見ることができるでしょう。2019年の原油価格は大幅安もありそうです。

 

その8:日ロ政府が2島返還で合意、北方領土関連株が上昇

最近動き始めた北方領土問題ですが、背景には北極海への進出を目論む中国の存在が意識されているとの見方もあります。ロシアとしては、単独で中国と対峙するよりも、2島を返還し、経済援助を引き出した上で協同して中国に対処するのが得策ということです。元CIA工作員のグレン・カール氏は「プーチンと安倍が政治手腕を発揮して大仕事を成し遂げる可能性は充分にある」(Newsweek、2018年11月27日)と述べています。実現すればエネルギー開発に強い三井物産などの商社をはじめ、漁業関連ではマルハニチロ、ロシアのガス大手ノバテクと提携する西部ガスなどが買われると思われます。

 

その9:ラグビー日本代表がW杯日本大会で8強入り、ラグビ-関連株が買われる

昨年のサッカーW杯での日本代表の健闘は記憶に新しいところですが、残念ながら目標のベスト8にあと一歩及びませんでした。ラグビー日本代表の目標もベスト8です。簡単ではありませんが、是非達成してほしいと思います。達成した場合は、日本代表のスポンサーを務める大正製薬ホールディングスや東芝、2018年のラグビー日本選手権を制した神戸製鋼所などに注目です。

 

その10:世界が注目する紀伊半島、外国人観光客増で和歌山関連株が上昇

世界的な旅行ガイドブック「ロンリープラネット」は2018年に訪れる場所として紀伊半島を世界の5位に挙げました。熊野神宮や高野山など精神的・文化的な観光資源を有する和歌山県を訪ねる外国人は着実に増えています。精神的なものだけではありません。白浜のアドベンチャーワールドにはかわいいパンダが何頭もいます。和歌山県に路線を有する南海電気鉄道や和歌山に本社がある紀陽銀行など、2019年は和歌山関連銘柄に注目です。

 

以上が2019年に予想する10サプライズですが、最後に前回の結果検証です。1勝6敗と厳しい結果となりました。最近、特にトランプ大統領の登場以降は想定外のことが増え、この企画も「サプライズ」を名乗るのが恥ずかしいようなところがありますが、今後も続けていきたいと考えています。今後とも「市場のここに注目」及び「10サプライズ」をよろしくお願いします。

 

2018年に起こると予想した10のサプライズ


 

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