トランプ米大統領のここに注目 ートランプ政権の機能不全が株高要因にー

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2019/2/7

経済調査部

シニア・エコノミスト

門司 総一郎

はじめに

看板政策のメキシコとの「国境の壁」建設が暗礁に乗り上げ、政府閉鎖もかえって非難を浴びるなど、トランプ政権の機能不全が明らかになってきました。しかし、世界の株式市場はこれを悪材料視せず、上昇を続けています。前回の当コラム「株式市場は上昇を続けると予想」では、この上昇はヘッジファンドの売り一巡と米中交渉への期待感によるものと説明しました。この見方は変わっていませんが、加えてトランプ政権の機能不全そのものも株高の理由となっているように思えます。通常であれば政権の機能不全は株安要因ですが、今回のトランプ政権の場合、なぜ機能不全が株高要因になるのかについて考えます。

トランプ政権の政策には株安要因が多い

一番の理由はトランプ政権の政策には株安要因となるものが多いことです。昨年株式市場は世界的に下落しましたが、その原因となったのは貿易戦争や、イランやトルコに対する経済制裁、米連邦準備制度理事会(FRB)への圧力、アマゾンやGMなどの個別企業へのバッシングなどが挙げられます。トランプ政権の政策やトランプ氏の言動が株安要因となった事例はいくつもあります。

対決重視の姿勢も株安要因

政策だけでなく、政策実行の手法にも株安要因となるものがあります。それは“対話より対決を重視する姿勢”です。貿易不均衡是正を目指すにしても、時間をかけて相手国と交渉を重ねるのであれば、株式市場への悪影響は抑えられるでしょう。しかし、いきなり関税を引き上げて、それから交渉というのでは悪影響は大きくなります。この“対話より対決を重視する姿勢”も株安要因の一つとなっています。

今後もトランプ政権が政策を進める上で、対決路線を変えないのであれば、それは株式市場にとってリスクであると思われます。しかし、トランプ政権の求心力が低下し、政権が機能不全を起こせば、それは株式市場にとって大きな好材料となるでしょう。そうした兆しは既に見えています。

見えてきた求心力の低下と政権の機能不全

2018年12月22日に米政府機関の一部閉鎖が始まって以来、トランプ政権の機能不全が明らかになりつつあります。各世論調査で支持率は低下、2019年1月24日には上院で共和党、民主党それぞれが提出した予算案の採決が行われましたが、「国境の壁」の予算を含まない民主党案に共和党から6人が賛成しました。これはトランプ氏に対する共和党議員の不満を表すものといえます。また貿易戦争についても、安全保障上の理由から輸入関税を課すことについて大統領の権限を制限しようとする超党派の議員グループによる動きがあります。

今後も政権の機能不全が株高要因に

「国境の壁」の予算を巡る民主党との対立は泥沼化、2月中にはモラー特別捜査官がロシア疑惑に関する報告書をまとめるとの見方もあり、トランプ政権の機能不全は今後ますます深刻化しそうです。そうした中、世界の株式市場はトランプ政権の機能不全を好感して上昇を続けると予想しています。

 


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