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トルコ –トルコリラが大幅下落–

2018/8/10

過去最安値を更新

8月9日の海外終値で、トルコリラは対米ドルで1米ドル=5.551トルコリラ、対円で1トルコリラ=19.978円となり、ともに過去最安値を更新しました。年初来からの騰落率は対米ドルで-31.6%、対円で-32.7%と大きく下落しています。

市場が抱くトルコへの懸念

今回のトルコリラの下落は、ワシントンで行われたトルコ代表団と米国務省当局者との協議で、トルコが拘束中の米国人牧師釈放の約束をすることを拒んだとの報道が直接的な要因です。米国との対立は、大規模な経済制裁の発動に発展する可能性(8月1日に米国、8月4日にトルコがそれぞれ小規模な制裁を発動)が懸念されており、その行方に市場は注目しています。加えて、エルドアン大統領の再選により政治的リスクの高まり(トルコ中央銀行の独立性・中立性の侵害、イエスマン中心の閣僚人事によりエルドアン大統領が国政を私物化する恐れ等)が懸念されています。経済面では、旺盛な国内需要と資源価格高にトルコリラ安が相まってインフレが加速していること、経常赤字が拡大傾向にあること等が懸念されています。

今後の見通し -今後も不安定な動きが続く-

トルコリラの下落は、多くの要因が絡み合うものであり、短期的に解決もしくは改善できそうにないものも多くあります。トルコ中央銀行は7月31日に公表した四半期インフレ報告書において今後のインフレ見通しを大幅に引き上げており、強い警戒感を示しています。しかしながら、エルドアン大統領の干渉もある中、多少の利上げでは対応できない水準までインフレ率が高くなり、経常収支が悪化しています。今後は利上げだけでなく、総合的な経済対策も含め抜本的な解決策が講じられなければ、今後もトルコリラは不安定な動きが続くと思われます。

トルコリラの推移

出所:Bloomberg

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