ホームマーケット週次・月次市場情報トルコ -トルコリラは連日の大幅下落-

トルコ -トルコリラは連日の大幅下落-

2018/8/13

エルドアン大統領の強硬姿勢を嫌気

8月10日の海外終値で、トルコリラは対米ドルで1米ドル=6.432トルコリラ、対円で1トルコリラ=17.285円となり、前日に続き、ともに過去最安値を更新しました。年初来の騰落率は対米ドルで-41.0%、対円で-41.7%といずれも40%超の大きな下落となっています。日本時間8月13日10時30分時点では、対米ドルで1米ドル=6.995トルコリラ、対円で1トルコリラ=15.785円となり、下落幅を広げています。特に対米ドルでは、一時1米ドル=7.2トルコリラ台まで下落する場面もありました。下落しているのは通貨だけではなく、株式と債券にも飛び火しています。8月10日の終値で、イスタンブール100種指数は年初来で17.7%下落し、トルコ10年国債利回りは10.4ポイント上昇(債券価格は下落)しています。エルドアン大統領はここ数日、米国への強い批判、金融引き締めの否定、外貨を売ってトルコリラを買い支えることの自国民への要求等、強硬姿勢を崩していません。その間、米国は8月10日(米国時間)、トルコに対して輸入関税をアルミニウム20%、鉄鋼50%へ引上げることを表明しました。トルコのアルバイラク財務相は「市場を鎮静化させるための必要な措置を取り、必要な発表を行う」趣旨の発言をしており、内容に注目が集まっています。

今後の見通し -今後の政策に注目-

トルコリラを安定させるには、過熱気味の国内需要を抑え、経常赤字の縮小とインフレ率の低下を促す対策が必要です。そのためにトルコ中央銀行は、エルドアン大統領の意向がどうであれ、物価の安定と景気の健全化へ向け思い切った利上げを行い、またエルドアン大統領はトルコ経済の持続的な成長に目を向け、総合的な経済対策を早急に講じることが市場で求められています。トルコリラ安とインフレ率上昇、経常赤字はお互いに繋がっており、放置すれば、トルコ経済は危機的な状況に陥り、景気の急激な悪化に繋がりかねません。これらは時間を要する問題ですが、解決に向け政府と中央銀行が方向性をひとつにし、対策を打つことにより打開できる可能性はあり、市場はそれを期待しています。しかし市場の期待に反し、有効な対策が出されなければ、当面、トルコリラは不安定な動きを続けると思われます。

トルコリラの推移

■当資料は情報提供を目的として大和住銀投信投資顧問が作成したものであり、 特定の投資信託・生命保険・株式・債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。 ■当資料は各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性を 保証するものではありません。 ■当資料に記載されている今後の見通し・コメントは、作成日現在のものであり、事前の予告なしに 将来変更される場合があります。 ■当資料内の運用実績等に関するグラフ、数値等は過去のものであり、将来の運用成果等を 約束するものではありません。 ■当資料内のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。