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ブラジル -市場予想通り、ボルソナロ氏が勝利-

2018/10/29

極右の元軍人が新大統領に

10月28日(現地時間)、ブラジルで任期満了にともなう大統領選挙の決戦投票が行われました。即日開票の結果、大方の事前予想通り極右の元軍人ボルソナロ下院議員(社会自由党)が対立候補で左派のアダジ元サンパウロ市長(労働党)を破り、当選確実となりました。

ボルソナロ氏は女性や同性愛者等への過激な発言から「ブラジルのトランプ」と呼ばれ、世論の対立が根強く予断を許さない状況でした。一方で、左派のアダジ氏も労働党の汚職に対する世論の反発を払しょくできず、治安や汚職撲滅を訴えたボルソナロ氏が55.2%の得票率(開票率99.5%時点)を獲得、格差解消を訴えたアダジ氏の44.8%を大きく抑えました。ボルソナロ新大統領の誕生で、1985年の民政移管から33年を経て極右政治の新時代が始まることとなります。

金融市場は開票結果を好感

一方で、ボルソナロ氏は財政再建への前向きな姿勢や、ヘッジファンド創業者を政策顧問に起用することを掲げ、投資家の支持を獲得してきました。開票の結果を受けてブラジル金融市場では同氏の当確が好感され、ブラジルレアルは、日本時間10月29日9時30分時点で1ブラジルレアル=30.76円と大きく上昇しました。

今後の見通し 新政権の政策運営に期待

今後の市場の注目は、連立交渉を含めた来年1月の新政権発足までの議会動向、ボルソナロ陣営の経済政策、新政権の閣僚人事などに移るものと思われます。なかでもテメル現政権が実現に向けて進めてきた年金制度改革法案の行方に市場参加者の注目が集まるものと思われます。

またブラジルレアルがさらに上昇するには、米長期金利の上昇、米中通商問題、中国経済の減速懸念といった新興国通貨を取り巻く外部環境の好転が前提となり、これらの動向を注視する必要があります。一方、インフレの抑制に成功したブラジルでは、政策金利が最低水準となり、国内景気が回復傾向にあります。年末にも利上げ終了議論が出るとの見方が根強い米国の金融政策との方向性の違いから、相対的に高金利水準のレアルは上昇基調を辿ることが期待され、併せて株式や債券も緩やかな上昇が期待できるものと思われます。

ブラジルレアルの推移

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